その朝、うおたはやたらと抱っこをせがんできました。
いつもならリビングに行けばぼくに話しかけてきたりするのに、その日はなぜか無言。
最近ハマっているチーズを乗せた食パンを見せても、まったく興味なさそうで。
それで「おかしいな」と思って体を触ってみると、案の定、熱くなっていました。測ってみると38.3℃。
予定していた公園行きはやめにして、おうち時間に切り替えることにしました。
妻もなんだか体調が悪く、今日はゆっくり過ごすことになりそうだなと。
ただ、むーちゃんだけはどうしても納得がいかず。しかたなくぼくとふたりでドライブに出かけました。
近所の図書館とその前の公園に行ったのですが、その日はめずらしく雪がちらついていて、すべり台がベタベタになっていて結局遊べず。
午後になってもあまりうおたの様子はかわらず。夜はお鍋を作りましたが、ほとんど手をつけず。
お風呂も入らないままウトウトしたので、そのまま寝かしつけました。
こういうとき「病院に連れて行くべきだったかな」とか「もっと様子をちゃんと見ていればよかった」とか、後からいろいろ考えてしまうのです。
小児科外来でも「何度になったら病院に来ればいいですか?」と聞かれます。
その答えは「体温の数字だけでは決まらない」というのが正直なところ。
今回は、受診の目安・ホームケア・解熱剤の使い方をできるだけわかりやすくまとめました。
同じように迷ったことのあるパパ・ママの参考になればうれしいです。
発熱は「悪いもの」じゃない、という話
まず最初に伝えたいことがあります。
発熱は「体が戦っているサイン」なのです。体温が上がることで、ウイルスや細菌が繁殖しにくくなります。免疫細胞が活発に働き出します。つまり、発熱自体は体が正しく機能している証拠のひとつでもあるのです。
外来にいると、「熱が出た=すぐ下げなければ」「40℃になったら脳がやられる」と強く心配するパパ・ママが多いと感じます。こうした過剰な発熱への恐れは「発熱恐怖症(fever phobia)」とも呼ばれていて、研究でも広く報告されているのです。
健康な子どもの場合、発熱だけで脳に影響が出ることはまずありません。
これは外来で毎日実感していることでもあります。
「何度になったら受診すべきか」の目安
「38.5℃」という数字をよく耳にしますよね。
これは解熱剤(アセトアミノフェン)の使用目安として医療現場でも参照される数字です。ただ、受診するかどうかは体温の高さだけで決まるわけではありません。
大まかな目安はこのような感じです。
- 3か月未満の赤ちゃん:38℃以上になったら、まずかかりつけ医に電話を
- 3〜6か月の赤ちゃん:38℃以上が続くなら受診を検討
- 6か月以上の子ども:39℃前後でも元気があれば、ある程度様子を見ることもできる
特に赤ちゃんの発熱は、症状がわかりにくいぶん注意が必要です。迷ったら早めに電話するだけでも違いますよ。
ちなみに、別の調査では4割近い保護者が37.5〜37.9℃の段階で受診を考えるというデータもあります。
こんなサインが出たら、迷わず受診を
体温の数字より子どもの様子が大切、とお伝えしました。
以下のような状態は「要受診」のサインです。迷わず病院に連れて行ってください。
- ぐったりして起き上がれない
- 何をしても泣き止まない、異常に機嫌が悪い
- 水分をまったく取れていない(8時間以上おしっこが出ない)
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 首が硬い、または曲げると痛がる
- 赤ちゃんで頭の柔らかいところ(大泉門)が盛り上がっている
- けいれんが起きた
熱性けいれんは、発熱に伴って起きることがあります。初めて見ると本当にびっくりするものです。
「あおむけに寝かせる」「口に何も入れない」「けいれんの時間を計る」の3つを覚えておくだけで、少し落ち着いて対応できますよ。
家でできること(ホームケアのポイント)
病院に行くほどではないけれど、家で何かしてあげたい。そんなときの基本はシンプルです。
水分補給がいちばん大切です。 発熱すると汗で水分が失われます。母乳・ミルク・麦茶・白湯など、子どもが飲んでくれるものを少しずつこまめに与えてください。脱水が心配なときは経口補水液が頼りになります。スポーツドリンクより塩分・糖分のバランスが整っているので、わが家でも常備しています。
冷やすなら「気持ちいい」程度で。 額や脇の下を冷やすと楽そうにすることがあります。ただ、嫌がるなら無理に続けなくて大丈夫です。うおたが熱を出したときも、冷えピタを貼ったり外したりを何度か繰り返していました。
部屋の温度・服装は子どもに合わせて。 寒気があるときは温かく、汗をかいているときは薄着に。子どもの様子を見ながら調整してあげることが基本です。
解熱剤はいつ・どう使う?
解熱剤(アセトアミノフェン)は正しく使えば安全なお薬です。
使う目安: 38.5℃以上で、「機嫌が悪い」「食欲がない」「眠れない」など、つらそうなときです。熱が高くても元気に遊んでいるなら、無理に使う必要はありません。
使ってはいけないもの: 市販の「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」は乳幼児には原則使いません。病院で処方されたアセトアミノフェン(カロナールなど)を使うのが安心です。
量は体重で決まります。 処方された量を守って使えば問題ありませんので、安心してください。
「昔もらったくすりが余っていたので使った」「きょうだいに処方された解熱剤を使った」…
ときおりこういうケースがありますが、本人に適さない量である可能性があるので、やめてください。
熱が下がったからといって「治った」わけではなく、薬が切れると熱が戻ることも多いです。そこで焦らず、引き続き水分補給と休息を続けてあげてください。
わが家で常備しているグッズ
発熱のときに「あってよかった」と感じるグッズを紹介します。
非接触型体温計
寝ている子どもを起こさずに測れるのがとにかく便利で、わが家でも愛用しています。
脇下計測より多少誤差があることもありますが、「発熱しているかどうか傾向をつかむ」には十分です。
経口補水液
脱水が心配なときの強い味方です。
子ども向けのりんご味などは飲みやすく、飲ませやすいのでオススメです。
1〜2本ストックしておくだけで、いざというとき慌てずに済みますよ。
Amazonで見る
冷却ジェルシート
嫌がる子も多いですが、「貼ってもらう」こと自体が安心につながる子もいます。
うおたは小さいころ、おでこに貼ってあげるとなぜかちょっと落ち着いてくれていました。
まとめ
今回は、子どもの発熱時の受診の目安とホームケアについて書きました。
ポイントをまとめると、
- 発熱は体が戦っているサイン。数字だけで判断しなくていい
- 3か月未満の赤ちゃんの熱は、まず電話で相談を
- 「ぐったり」「飲めない」「けいれん」は迷わず受診
- 家では水分補給・休息・体温管理が基本
- 解熱剤は38.5℃以上でつらそうなときに
数字より、目の前のわが子の様子を見てあげることがいちばんです。
外来でも「どうすればよかったですか?」と聞いてもらうことが多いのですが、「迷ったらいつでも受診してください」と答えています。
不安なときはかかりつけの先生に相談するだけで、気持ちが楽になることもありますよ。
同じように発熱で迷ったことのある方の、少しでも参考になればうれしいです。